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仙台地方裁判所 昭和54年(わ)360号 判決

本籍

大阪市北区堂山町六六番地

住居

仙台市滝道四五番六号

会社役員

吉本豊

昭和一二年七月二日生

本店所在地

宮城県宮城郡宮城町下愛子字二本松二五番地

商号

豊研産業株式会社

右代表者代表取締役

吉本豊

右の者に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官中屋利洋出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人吉本豊を懲役八月に、同豊研産業株式会社を罰金八〇〇万円に各処する。

被告人吉本豊に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、宮城県宮城郡宮城町下愛子字二本松二五番地に本店を置き、護岸用ブロックの型枠補修業等を営むもの、被告人吉本豊は同会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、同被告人は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て工事収入の一部を除外したり架空材料費等を計上して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五〇年六月一日から昭和五一年五日三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一八、九五四、四八九円でこれに対する法人税額が六、六三九、三〇〇円であるのにかかわらず、同年七月三一日同県仙台市上杉一丁目一番一号所在の所轄仙台北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六、一四九、四五七円でこれに対する法人税額が一、六四九、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における法人税額四、九八九、六〇〇円をほ脱し

第二  昭和五一年六月一日から昭和五二年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四一、四一二、八三八円でこれに対する法人税額が一五、六一二、八〇〇円であるのにかかわらず、同年七月三〇日前記仙台北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七、九八五、七六〇円でこれに対する法人税額が二、二七六、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における法人税額一三、三三六、八〇〇円をほ脱し

第三  昭和五二年六月一日から昭和五三年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三〇、〇四一、三一五円でこれに対する法人税額が一一、〇六七、五〇〇円であるのにかかわらず、同年七月三一日前記仙台北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六、三六二、一七四円でこれに対する法人税額が一、七〇九、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における法人税額九、三五八、二〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する各供述調書

一、被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、登記官作成の登記簿謄本

一、早坂ゑなの検察官に対する供述調書

一、武田重男、関根キヌ子、阿部一夫、笠原康佑、三枝竹男、榊田昭男、今村正純、加藤正一、野呂文雄、山田宗太郎、吉田実、菅野勇三の大蔵事務官に対する各供述調書

一、長内正、粂川辰夫、松島学、西川造、大田治郎、熊谷勇、佐藤勝也、石川幸道、植村俊夫、川村浩、中村重男、佐々木七郎、武田重男、関根康富、榊田昭男、三枝笑美子作成の各上申書

一、嘉規善三郎、石澤六郎、庄司公正作成の各取引内容の照会に対する回答

一、大蔵事務官作成の銀行調査書及び売上除外額等調査書

一、大蔵事務官作成の交際費の損金不算入調査書、簿外預金等調査書及び個人預金等調査書

一、検察事務官作成の電話聴取書

一、押収にかかる確定申告書各一綴(昭和五四年押第九九号の一ないし三)

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(一)

判示第二の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(二)

判示第三の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(三)

(法令の適用)

被告人吉本 法人税法一五九条一項、七四条一項二号

被告人会社 法人税法一六四条一項、一五九条

刑種の選択 被告人吉本につき懲役刑

併合罪加重 刑法四五条前段

被告人吉本に対する懲役刑につき同法四七条本文、一〇条、判示第二の罪の刑に加重

被告会社に対する罪金刑につき同法四八条二項

刑の執行猶予 被告人吉本に対し刑法二五条一項

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 伊藤紘基)

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